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2017年1月11日 (水)

訓練の評価~絶対評価と相対評価~

 少し専門的な話になりますが、図上訓練をやる場合の評価方法についてのことです。

 物事を評価する方法は、大きく分けて絶対評価と相対評価に分かれると思います。

 HUGでは相対評価を行っています。具体的には、同じ問題つまり同じカードを各グループで読み上げ、ゲームが終わった後でそれぞれの避難者をどこに配置したか、イベントカードにどう対応したか、給水車や炊き出しなどの場所をどこにしたかなどについて、あるグループから質問してもらい、他のグループが答えるという形で相対評価することを推奨しています。

 相対評価をする理由は、避難所運営にはただひとつの正解があるというわけではなく、状況に応じていくつか選択肢が考えられ、そのうちのどれを選択するかということであるからです。

 1グループだけで実施した場合は、自分たちのグループがやったことが正しかったのではないかと思いがちですが、複数のグループで実施して他のグループと比べてみると「あぁ、なるほど、そういう考え方もあるのか」ということが多々あります

 このような理由で、HUGでは、実施結果をグループ間の質問と回答という形で相対評価、つまり比べるという方法をお勧めしています。各グループから感想や意見を発表してもらうというやり方をしている場合も多いと思いますが、その場合も、各グループからの発表内容を比べるということであり、やはり相対評価だと思います。

 DIGをやったことがある方も多いと思いますが 、DIGの場合もまとめ方としては、各グループから発表してもらうというやり方が多いと思います。

 クロスロードも多くの皆さんが実施していると思いますが、問題が読まれた後、一斉にイエスかノーのカードを出し、基本的には多数派が勝つという考え方であり、これも答えの数を比べてどちらが多いかということを勝敗基準としているのですから相対評価ということになると思います。


 これに対して、行政機関が実施している大勢の職員が参加する図上訓練は、基本的に1チームで実施するので比較する相手がいません。100人くらいで実施するある大きな図上訓練に参加したことがありますが、その時は黒い背広を着て訓練に参加していない人が何人かいるので、誰かと思ったら評価者ということでした。彼らは、評価基準らしきものを回覧板のような板に挟んで持っていて、プレイヤーの近くで何かメモをしていました。おそらく、Aという 情報に対してきちんと反応できたか、B という情報に対して幹部がきちんと指示を出せたか、Cという情報に対しての対応方針が末端のプレイヤーにまで伝わったか・・・などのチェック項目が書かれていて、それをチェックしていたのではないかと思います。

 これは、訓練企画者が設定した評価基準をクリアできたか・できなかったかを評価基準にしているので絶対評価ということになると思います。しかし、よく考えてみると、この方法は訓練企画者の考えているとおりにプレイヤーが反応したかどうかを評価するということであり 、思いもよらないすばらしい判断があった場合、それが正しく評価されるかわからないという可能性を含んでいます。

 そもそも、大勢で実施する図上訓練も、DIGやHUG、クロスロードと同様にただ一つの正解というものはないはずですから、やはり相対評価をするのが良いのだと思います。

 訓練企画者は、訓練効果の有無の評価を迫られることもありますから、何らかの方法で評価せざるを得ないし、大勢が参加する訓練を2チーム以上で実施するのは事実上困難という現実もあり、結果的に絶対評価という方法になるのだと思いますが、例えば、プレイヤーを災害対策本部に詰める幹部という立場に限定し、複数の災害対策本部チームを作り、そこに付与される情報に対しての対応結果を、訓練が終わった後で比較するというような方法ならできるかもしれません。

 残念ながら、まだ全国的に見れば図上訓練というものを導入している市町村は少数派であり、訓練を実施しているだけでも良い方というのが実情ですので、2チーム以上で実施して相対評価を試みることは夢のような話ですが、やってみればそれなりの効果があるのではないかと思っています。





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