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2016年9月 2日 (金)

HUGを学校の体育館で実施する場合

 HUGを学校の体育館で実施しようとする場合、教室に比べて難しい問題がいくつかあります。
・夏は暑く、冬は寒い。
 最近は、夏の始めころから熱中症で倒れる人が毎年増えています。年配の方を集めて日中の体育館で実施するのは、すでに初夏の時期から難しいところがあります。
 また、冬は、寒くてたまりません。体育館によくあるスリッパは薄くてペラペラでとても冷えるので、せめて靴を履いたまま上がることができればよいのですが、そうしようとすると今度は養生シートを敷かなければならなくなり、これがまたひと仕事です。
 ときどき巨大ストーブのような装置があるところもあるかもしれませんが、やはり空間全体を適度な温度に保つというのには程遠いと思います。
 中学生、高校生が自分の学校の体育館で授業の一環として実施するのなら我慢できるかもしれませんが、暑さ寒さが原因でゲームに集中できないのでは意味がないので、中年以上の大人には少し厳しい環境だと思います。
・手元が暗くてカードの文字が見えにくい。
 体育館は運動するための施設なので、天井についている照明の光は弱く、カードの文字が見えにくいという難点があります。お年寄りには少し暗いかと思います。
・広々としていすぎて落ち着かない。
 落ち着いてできるかどうかというのは、何かを学習するときには基本条件としてとても重要な事項です。
 教室のように、壁に囲まれた空間の中に適度な人数がいて、机やイスなどが揃っていると落ち着いて居ることができますが、ほぼ手ぶらの状態で人数に対して広すぎる空間というのは、どうも落ち着きません。
 人間も動物の一種ですから、広すぎる空間にポツンと居るという状態、つまり逃げる場所も隠れる場所もないというのは、動物として落ち着かないということもあるかと思います。
 また、子供たちにとっては、バスケットゴールが見えたり、バレーコートの線が見えたりすれば、運動が好きな子の頭の中はそちらの方に行ってしまうのではないでしょうか。
・イスや机がない。
 イスや机がないというのもやりにくい原因です。私も何回か体育館でHUGをやったり見たりしたことがありますが、床に腰を下ろして輪になり図面を広げてやるよりは、イスと机を運び入れてやる方がゲームスペースがはっきりしてやりやすいように思います。
 ただ、そうしようとすると、養生シートを敷き、イスと机を運び込むという大変な作業が必要になってしまいますし、片づけも大変です。
・マイクなしでは説明の声が届きにくく、マイクを使っても変な反響がして聞き取りづらい。
 説明の声が届きにくいという問題もあります。体育館は空間が広いので、説明の声が空間に広がってしまい、説明者から遠いところにいると聞き取りにくくなります。また、マイクを使った場合も変な反響があって聞き取りにくいことがしばしばです。 
・臨場感を出すのが難しい。
 HUGでは、グループの間隔を隣のグループの声が聞こえるくらいの間隔にし、互いに声が大きくなるように仕向けて会場全体を騒がしくし、避難所の混乱や喧騒などの臨場感を出すようにしていますが、体育館は天井が非常に高く、近くに壁もないので、読み上げ係やプレイヤーの声が空間に吸収されてしまい、会場全体を騒がしくすることが難しくなります。
・ホワイトボード
 机やイスと同じですが、掲示板として使うホワイトボードなどを運び込むのが大変という問題があります。ホワイトボードは割と大きくて、縦にしても横にしてもグラグラして運びにくい物です。また、ひょっとしたら学校にはホワイトボードはあまりないかもしれないですね。
 そうはいうものの、避難所体験お泊り研修などでどうしても体育館でやる場合があると思います。そういう時は、できるだけ下記のような環境を整えてやるのが良いと思います。
 ・春や秋に実施する。
 ・場所は、体育館の片隅の壁が2方向にある場所とする。
 ・養生シートを敷き、机、イス、ホワイトボードなどの資機材を整える。靴履きで参加できるようにする。
 ・壁を掲示板代わりに使わせてもらえたら使う。
 ・残りの2方向は、掲示板として使うホワイトボードや衝立(ついたて)で仕切る。これらが反響板になり、説明の声が聞こえやすくなり、多少の臨場感を出すことができます。 もし折り畳み式の卓球台があれば仕切りに使っても良いと思います。


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